
みくま幼稚園から保護者の皆様への通信です。
園長安芸志穂子が書いています。
ご一読ください。

1・新しい年度の開始です
26年度が始まっています。25年度を充実して過ごした方、お家で新生活を待ちわびていた方、様々おられることと思います。
みくま幼稚園にもフレッシュな新人がやってきました。(年齢はそれぞれです)
西川弘子(にしかわひろこ)
福井友美(ふくいゆみ)
髙谷弥沙(たかやみさ)の3名です
また、25年度末で退職した職員は
清水章子(しみずあきこ)
中山実久(なかやまみく)
辻本紗羅(つじもとさら)の3名
清水先生は現在パート職員として新学期の間、強力な助っ人として活躍中です。
子ども達が巣立つように、様々な事由でみくまを巣立つ職員もいますが、それぞれに同じ道を進む同業の士、同じ志をもつ仲間としてみくまの縁を大切に今後の人生に生かして行きます。
昨年度、卒園した子ども達は110。それぞれの小学校という新しい新天地でぴかぴかの一年生です。今年度のみくま幼稚園は全園児321名、豊中、吹田、箕面の3市にまたがり、小学校区では20校区以上の就学先があります。数ある幼稚園のなかで、みくま幼稚園を選んで参加する先生達、子ども達、そして保護者の皆様、みくま幼稚園という小さな社会、コミュニティ、小さいけれどとても大きいあたたかさをもつこの場所で、つながりあって、みなさん今年も育ちあい、学びを深めて参りましょう。

2・新しい給食業者です
給食を委託する業者さんがかわりました。25年度まで、ながらくお世話になった「ナフス南」さんと契約が終了することとなり、今年度から「富喜屋」さんになりました。アレルギーへの対応と、子ども達のために手作りの給食を配食したいとの企業理念のなかで、みくま幼稚園の教育方針と沿うところが多く有り、話し合いを重ね、お互いに子ども達の育ちのためのパートナーシップを結ぶに至りました。
自分たちの小さな頃の思い出を語る中で、学校での小さな我慢や、いまではやりすごせるような小さなつまずきが大きな涙になったことも一つや二つはあるものです。子どもが大人になって行く道中はたくさんの喜びとたくさんの痛みの背中合わせ、どちらも表裏一体ながら、おだやかな日常の中で些細な喜びの面が表をむいてみたされていても、痛みの部分がささいな気持ちの揺れ動きでくるりとこちらを向いてしまったときのせつなさ、つらさは大人になってもかわりません。人はいつまでもそうして育ってゆくものなのです。たとえ楽しい食事の時間であったとしても、なかには苦手な給食で悲しい思いをした親御さんも多かったのではないでしょうか。
私も給食は大の苦手でした。人と同じ事がとにかく苦手な私のような子どもには、人と同じ味覚や感覚を要求されることは小さな頃は手に負えないほどの苦労であったように思います。まあ、今はそのノウハウが役に立ち、こうした仕事につくことができていますので、学びは生きているのでしょう。本来は私のような子どもこそ、学校が必要だったのかもしれません。
みくま幼稚園の給食指導は、給食を残さず食べることが目的ではありません。仲間で同じ味覚、同じ食材をともにする、食する時間を共にすることが子どもの人生や将来にむけての人間形成にどんな役目をはたすのか、それを見まもり、学び、促し、身につけることが目的です。その中身は味覚や食欲やお腹のすき具合と同じように、子ども達ひとり一人がちがうので、ひとり一人がちがうと私は考えています。給食が自信を育て、仲間のぬくもりの中で育ち合う時間になりますように。そんな願いでみくま幼稚園は給食、お弁当の食の時間に取り組んでいます。
3・新しい動物コーナーです
春休みの間に動物コーナーを改修しました。
とんぼが産卵するためのトンボ池を水路に移して、今までのトンボ池は水生生物と水生植物の共生の池となりました。カメのコーナーはカメからの不満続出の「産卵場所を変更せよ」「我々カメにやさしい産卵場所をつくれ」という数年来の直訴をついに聞き届け、カメの池の内装リフォームと産卵場所をあらたに設置しました。
みくま幼稚園は日本カメの産卵にも取り組んでいます。いままでの人造的な産卵場所におこって動物コーナーから脱退してしまうカメもいましたが、新しい産卵場所をつくって以来、みな気に入っているようです。この春がおわったら、カメも産卵の季節です。生まれた子ガメは、岡村先生の手で大切に育てられて、やがては動物コーナーにデビューの予定です。おたのしみに。
また、ウサギの糞尿処理として、酵素で分解するコーナーをつくりました。これによりできた安全な堆肥で幼稚園のなかに果樹を植えられるよう、土壌の改善にも取り組んでいきたく考えています。みくま幼稚園の動物コーナーのスタッフ達、あひるもうさぎもカメたちも皆長命で、学校飼育動物のなかでは平均をぬいて幸福に暮らしています。きっと、動物スタッフとして子ども達の心と体の育ちを見まもるお仕事の充実具合と、なによりも、みくまのコミュニティの一員であることが健康、長命の要因だと思われます。

子育てで渡る川
子育てをふりかえって今感じることは、子どもを育てるということと、子どもを産むということは、背中合わせでよりそうのがよかったんだなということです。その二つが混じり合って、なにもかもいっしょくたになっていたことが、苦しみのもとであり、怖いものしらずでやってゆけた原動力でもあったなと思うのです。そして、まぜくりあってどうにもこうにもならなくなって、ようやくある時ハタときがついてやり方をかえる、そんなことを際限なくくりかえした結果、それを学ぶにいたったというところでしょうか。
生まれてすぐに世間話をするあかちゃんも立ち歩く赤ちゃんもいません。ゆっくり親になりましょう、そんなことはみんな知っているけれど、知っているということと、わかっているということがちがうから、みんなわからずに悩むわけです。子どもを産んだ産婦から、ゆっくり納得しながら親になってゆけばいいのですが、女親は体も心もホルモンの影響を受けたり、子孫を残すという自然の目的のためのシステム上、なにごとも男親よりも一足先に親の道を歩きます。早い話が女の人は子どもを産んだその日から、子どもを産む前の人生には戻れないことがわかります。もうこの道しかないのだと小さな手をにぎって、はしごを外されてしまったことが身にしみてしまったりするのです。男親との夫婦の葛藤は、このはしごを外して、今までの人生に別れを告げてでも子どもとの生き方を余儀なくされる女親の身もだえするような子育てへの気持ちを、理屈で親になってゆく男親が理解するにいたるまでの時間差、つまり、男親が理屈ではなく体の感覚で親になるまで女親は、余裕のかけらもないのにイライラしながら待っていないといけなくて、足ふみ状態の苦しい時間が長いと感じることが多く、また、いくら男女の親の発達段階が同列に並んでも、その体感覚そのものの深さのちがいに由来するからだと思うのです。
夫婦で子どもを育てましょう、というけれど、子どもが小さいうちは子育ての主役は女親です。男親はその主役をささえる大切なパートナーです。自分の子どもを産むために、まったくの未経験、初心者であるにもかかわらず、それまでの人生と別れをつげて、これからの生きる時間を捧げて子どもを育てようとする女親を大切に支えてあげてほしいと願います。そして、私たちみくま幼稚園のシャツを着る者達もそのパートナーの一員であると思っています。みくま幼稚園では子育ての相談をお受けしています。親になる道中、ながい赤信号がなかなかかわらないと思ったら、信号待ちの合間にお立ち寄り下さい。
夜風のなかに緑の香りがする頃となりました。風薫る季節ですが、昼と夕方の寒暖差も大きい季節、お母さん達は自分の健康管理にじゅうぶんお気を付け下さい。お母ちゃんが元気なら子育ての問題はほとんど前向きに対処が出来て、解決して行けると自分で感じることが出来るのです。
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みくま幼稚園だより 2014年4月号 1枚目
みくま幼稚園だより 2014年4月号 2枚目